米マサチューセッツ州ケンブリッジ & 大阪
(ビジネスワイヤ) — 武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は本日、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品評価委員会(CHMP)が、ALK阻害剤による治療歴のない未分化リンパ腫キナーゼ遺伝子変異陽性(ALK+)進行性非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者に対する単剤療法としてALUNBRIG(ブリガチニブ)の承認を勧告する肯定的見解を採用したと発表しました。ALUNBRIGは、ALKの遺伝子変異を標的として阻害するように設計された次世代のチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)です。
ロイヤルマースデンNHS基金トラストの顧問腫瘍内科医であるSanjay Popat教授は、次のように述べています。「ALK陽性NSCLCの複雑な性質と、本疾患がしばしば脳転移することを考えると、全体および頭蓋内病変の両方で有効性を示す治療選択肢を持つことは医師にとって不可欠です。ALTA-1L試験では、ブリガチニブがクリゾチニブとの比較で、脳における有意な奏功と一貫した全般的有効性を示しました。EMAの承認を取得した場合、ブリガチニブは欧州におけるALK陽性進行性NSCLC患者に対するファーストライン治療の重要な選択肢となる可能性があります。」
本肯定的見解は、ALK阻害剤による治療歴のないALK陽性局所進行性/転移性NSCLC患者でALUNBRIGの安全性と有効性をクリゾチニブとの比較で評価する第3相ALTA-1L試験から得られたデータに基づいています。試験の結果、ベースラインで脳転移を有する患者でALUNBRIG投与による有意な奏功が観察され、本薬がクリゾチニブと比較して優れていることが証明されました。2年以上の追跡後、ALUNBRIGはベースラインで脳転移を有する患者で、頭蓋内病変の病変進行または死亡のリスクを、盲検下独立審査委員会(BIRC)の評価によれば69%(ハザード比 [HR] = 0.31、95% CI: 0.17~0.56)、治験責任医師の評価によれば76%(HR = 0.24、95% CI: 0.12~0.45)低減させました。またALUNBRIGは一貫した全般的有効性を示し(治療企図解析集団)、無増悪生存期間(PFS)の中央値は、BIRCの評価によればクリゾチニブの11.0カ月(95% CI: 9.2~12.9)に対し24.0カ月(95% CI: 18.5~NE)、治験責任医師の評価によればクリゾチニブの9.2カ月(95% CI: 7.4~12.9)に対し29.4カ月(95% CI: 21.2~NE)とクリゾチニブの2倍以上でした。
ALTA-1L試験におけるALUNBRIGの安全性プロファイルは、既存の欧州製品概要(SmPC)と全般的に一致するものでした。治療下で発現した最も頻度の高いグレード3以上の有害事象(TEAE)は、ALUNBRIG群ではCPK上昇(24.3%)、リパーゼ上昇(14.0%)、高血圧(11.8%)であり、クリゾチニブ群ではALT上昇(10.2%)、AST上昇(6.6%)、リパーゼ上昇(6.6%)でした。
武田薬品Oncology Therapeutic Area Unitのヘッドを務めるクリストファー・アーレントは、次のように述べています。「がんに対する安全で有効な治療選択肢の開発は武田薬品にとって最優先の課題であり、当社は肺がんコミュニティーの未充足ニーズを満たす方法を一貫して探究しています。本日のCHMPによる肯定的見解は、ALK陽性進行性NSCLC患者さんにALUNBRIGをお届けする上で重要な前進あり、この重篤かつ希少ながん種である肺がんの患者さんに対するファーストライン治療薬としてのALUNBRIGの申請をEMAが審査するに当たり、同庁と引き続き協力していきたいと思います。」
ラング・キャンサー・ヨーロッパ(LuCE)のプレジデントを務めるステファニア・バローネ氏は、次のように述べています。「ALK陽性NSCLCは肺がんの希少ながん種であり、患者さんのニーズは多様です。近年の進歩にもかかわらず、欧州の約1万人のALK陽性NSCLC患者さんには、ファーストライン治療のさらなる選択肢に対するニーズが依然として存在します。」
ALUNBRIGに対する本肯定的見解は、欧州委員会(EC)での決定に向け、同委員会による審査が行われることになります。ALUNBRIGは現在、ALK陽性NSCLCに対するファーストライン治療薬として承認されていません。
ALTA-1L試験について
成人患者をALUNBRIGで治療する第3相ALTA-1L試験(ALK in Lung Cancer Trial of BrigAtinib in 1st Line/肺がんのファーストライン治療でブリガチニブを検討する試験)は、ALK阻害剤未治療のALK陽性局所進行性/転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者275人(ALUNBRIG群137人、クリゾチニブ群138人)を組み入れて進行中のグローバルランダム化非盲検比較多施設試験です。患者は、ALUNBRIG 180mgを1日1回(7日間の導入期間では90mgを1日1回)、またはクリゾチニブ250mgを1日2回の頻度で投与されました。
患者年齢の中央値はALUNBRIG群が58歳、クリゾチニブ群が60歳でした。ベースラインで脳転移を持つ患者の割合はALUNBRIG群が29%、クリゾチニブ群が30%でした。進行性/転移性がんに対する化学療法の治療歴がある患者の割合はALUNBRIG群が26%、クリゾチニブ群が27%でした。
盲検下の独立評価委員会(BIRC)の評価による無増悪生存期間(PFS)を主要評価項目としました。副次評価項目には、RECIST改訂版1.1に基づく客観的奏功率(ORR)、頭蓋内病変におけるORR、頭蓋内病変におけるPFS、全生存期間(OS)、安全性、忍容性を含めました。
ALTA-1L試験におけるALUNBRIGの安全性プロファイルは、既存の欧州製品概要(SmPC)と全般的に一致するものでした。
ALUNBRIG®(ブリガチニブ)について
ALUNBRIGは強力で選択的な次世代チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)であり、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)の遺伝子変異を標的として阻害するように設計されています。ALUNBRIGは2017年4月、クリゾチニブ投与中に進行したかクリゾチニブ抵抗性のALK陽性転移性NSCLC患者の治療薬として米食品医薬品局(FDA)の迅速承認を取得しました。本適応は、腫瘍奏功率および奏功期間に基づき、迅速承認制度により承認されました。本適応の承認継続は、検証的試験における臨床的ベネフィットの検証と説明が条件となります。
ALUNBRIGは現在、ALK陽性転移性NSCLCを患い、クリゾチニブ投与を受けたがNSCLCが悪化したか、クリゾチニブ投与への忍容性を示さない患者の治療薬として、米国、カナダ、欧州連合を含む40カ国以上で承認されています。
ALUNBRIGは、腫瘍がクリゾチニブ抵抗性のALK陽性NSCLC患者の治療薬として、FDAより画期的治療薬の指定を受け、ALK陽性NSCLC、ROS1陽性/EGFR陽性NSCLC患者の治療薬としてFDAより希少疾病用医薬品の指定を受けています。
ALK陽性NSCLCについて
非小細胞肺がん(NSCLC)は肺がんの最も一般的な形態であり、世界保健機関によれば、世界中で毎年診断される推定180万人の新規肺がん症例の約85パーセントを占めています。1,2遺伝子研究では、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)の染色体転座が、NSCLC患者のサブセットで重要ながん進行因子であることが示されています。3転移性NSCLC患者の約3~5パーセントにALK遺伝子の転座が見られます。4,5,6
武田薬品は、NSCLCを対象とする研究開発を継続し、毎年世界中でこの重篤で希少な肺がんと診断される約4万人の患者の生活を改善することに傾倒しています。7
肺がん領域における武田薬品のコミットメント
武田薬品は、ALK陽性NSCLCおよびEGFR/HER2変異型NSCLCの治療展望における治療選択肢を拡充させることに専心しています。当社の包括的プログラムには下記の臨床試験が含まれ、肺がん患者の未充足ニーズに一貫して対応しています。
ALUNBRIG
- ALUNBRIGの安全性、忍容性、薬物動態、予備的な抗腫瘍活性の評価を実施するようにデザインした第1/2相試験。本試験は患者組み入れが完了。
- クリゾチニブ投与中に進行した局所進行性/転移性ALK陽性NSCLC患者で2種類の投与レジメンにてALUNBRIGの有効性と安全性を検討するピボタル第2相ALTA試験。本試験は患者組み入れが完了。
- ALK阻害剤未治療の局所進行性/転移性ALK陽性NSCLC患者でクリゾチニブと比較したALUNBRIGの有効性と安全性を評価するランダム化グローバル試験の第3相ALTA-1L試験。本試験は患者組み入れが完了。
- アレクチニブ投与中に進行した患者に重点を置き、日本人のALK陽性NSCLC患者を治療する第2相J-ALTA単一群多施設試験。本試験は患者組み入れが完了。
- アレクチニブまたはセリチニブの投与中に進行した進行性ALK陽性NSCLC患者でALUNBRIGの評価を実施する第2相ALTA 2グローバル単一群試験。本試験は患者組み入れが完了。
- クリゾチニブ投与中に進行したALK陽性NSCLCを患う参加者でアレクチニブと比較したALUNBRIGの有効性と安全性を比較する第3相ALTA 3ランダム化グローバル試験。本試験は現在、患者組み入れ中。
EGFR/HER2変異の選択的阻害剤であるTAK-788は現在、EGFRエクソン20挿入変異で検討されています。
- NSCLC患者で経口EGFR/HER2阻害剤TAK-788の安全性、薬物動態、抗腫瘍活性を評価する第1/2相試験。本試験は患者組み入れが完了。
- EGFRエクソン20挿入変異を持ち、治療歴のある患者でTAK-788の有効性と安全性を1日1回、160 mg投与で評価するようにデザインされた第1/2相試験のピボタル拡大コホートとなる第2相EXCLAIM試験。本試験は患者組み入れが完了。
- 腫瘍がEGFRエクソン20挿入変異を有する局所進行性/転移性NSCLCの治療未経験患者で、ファーストライン治療としてのTAK-788の有効性をプラチナベースの2剤併用化学療法と比較して評価するランダム化グローバル試験の第3相EXCLAIM 2試験。本試験は現在、患者組み入れ中。
- 局所進行性/転移性NSCLCの日本人患者でTAK-788の安全性、忍容性、薬物動態を評価する非盲検多施設用量漸増第1相試験。本試験は患者組み入れが完了。
- 腫瘍がEGFRエクソン20挿入変異を有する局所進行性/転移性NSCLCの日本人患者に対するファーストライン治療としてのTAK-788の有効性を評価する非盲検多施設第2相J-EXCLAIM試験。本試験は現在、患者組み入れ中。
- 健康な成人被験者で、TAK-788と、強力なシトクロムP-450(CYP)3A阻害剤イトラコナゾール(パート1)または強力なCYP3A誘導剤リファンピン(パート2)のいずれかとの薬物相互作用を特性化するようにデザインした非盲検2期固定順序第1相試験。本試験は現在、患者組み入れ中。
ALUNBRIGおよびTAK-788の臨床試験に関する詳細情報については、www.clinicaltrials.govをご覧ください。
ALUNBRIG®(ブリガチニブ):重要な安全性情報(欧州向け)
特別な警告および使用上の注意
肺有害反応:ILD/肺臓炎と特徴が一致するものを含め、重度/生命を脅かす/致命的肺有害反応が発現する場合があります。肺有害反応の大半は、治療開始から7日以内に観察されています。グレード1~2の肺有害反応は治療中断または用量調節により解消しました。加齢とクリゾチニブの最終投与からALUNBRIGの初回投与までの短い間隔(7日未満)は、独立してこれら肺有害反応の発現率上昇と関連していました。ALUNBRIG治療を開始する際はこれらの因子を考慮すること。ALUNBRIG治療で後に肺臓炎を経験した一部患者がいます。患者を呼吸器症状(例:呼吸困難、咳など)の新規発現または悪化につき、特に治療開始から1週間にわたりモニタリングします。呼吸器症状が悪化した患者すべてを対象に肺臓炎の証拠について直ちに調査します。肺臓炎が疑われる場合はALUNBRIG投与を保留し、症状の他の原因(例:肺塞栓症、腫瘍進行、感染性肺炎)につき患者の評価を実施します。用量は適宜調節します。
高血圧症が発現しています。ALUNBRIG治療中は定期的に血圧をモニタリングします。高血圧症は、血圧管理の標準的なガイドラインに従って処置します。徐脈を引き起こすことが判明している医薬品の併用が避けられない患者では、高頻度で心拍数をモニタリングします。重度の高血圧症(グレード3以上)では、グレード1またはベースラインに回復するまでALUNBRIG投与を保留します。用量は適宜調節します。
徐脈が発現しています。徐脈を引き起こすことが判明している他の医薬品との併用でALUNBRIGを投与する場合は注意を払います。心拍数と血圧を定期的にモニタリングします。症候性徐脈が発現した場合、ALUNBRIG治療を保留します。徐脈を引き起こすことが判明している併用薬の評価を実施します。回復後、用量を適宜調節します。生命を脅かす徐脈の場合、原因となっている併用薬が特定されないか徐脈が再発した場合は、ALUNBRIG投与を永久的に中止します。原因となっている併用薬が特定された場合、用量を適宜調節します。
視覚障害がALUNBRIG投与で発現しています。何らかの視覚症状が現れたら報告するよう患者に助言します。重度の視覚症状が新規発現または悪化した場合、眼科的評価と減量を検討します。
クレアチンホスホキナーゼ(CPK)上昇が報告されています。原因不明の何らかの筋痛、圧痛、脱力を経験した場合は報告するよう患者に助言します。治療期間中はCPK値を定期的にモニタリングします。CPK上昇の重症度により、ALUNBRIG治療を保留し、用量を適宜調節します。
膵酵素の上昇:アミラーゼとリパーゼの上昇が発現しています。ALUNBRIG治療期間中はリパーゼとアミラーゼを定期的にモニタリングします。検査値異常の程度により、ALUNBRIG治療を保留し、用量を適宜調節します。
肝毒性:肝酵素(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ)およびビリルビンの上昇が発現しています。AST、ALT、総ビリルビンを含む肝機能の評価を、ALUNBRIGの投与開始に先立ち、また治療開始後3カ月間は2週間ごとに実施します。その後はモニタリングを定期的に実施します。検査値異常の程度により、ALUNBRIG治療を保留し、用量を適宜調節します。
高血糖症:血清グルコースの上昇が発現しています。ALUNBRIG治療開始に先立ち空腹時血清グルコースの評価を実施し、その後は定期的にモニタリングします。必要に応じ血糖降下薬による治療を開始するか最適化します。最適な医療管理によって高血糖の適切なコントロールが達成できない場合、高血糖の適切なコントロールが達成できるまでALUNBRIGの投与を保留します。回復後に減量の検討かALUNBRIGの永久的中止があり得ます。
薬物相互作用:ALUNBRIGと強力なCYP3A阻害剤の併用は避けます。強力なCYP3A阻害剤の併用が避けられない場合は、ALUNBRIGの投与量を180 mgから90 mg、または90 mgから60 mgに削減します。強力なCYP3A阻害剤の使用中止後はALUNBRIGの投与量を、強力なCYP3A阻害剤の使用開始前に忍容できた用量に戻します。ALUNBRIGと強力/中等度CYP3A誘導剤の併用は避けます。
生殖能力:妊娠する可能性がある女性には、ALUNBRIG治療期間中および最後の投与後少なくとも4カ月間は有効な非ホルモン性避妊薬を使用するよう助言します。妊娠する可能性のある女性パートナーを持つ男性には、治療期間中およびALUNBRIGの最後の投与後少なくとも3カ月間は有効な避妊法を用いるよう助言します。
ラクトース:ALUNBRIGはラクトース一水和物を含有しています。希少な遺伝性疾患であるガラクトース不耐症、全ラクターゼ欠損症、グルコース・ガラクトース吸収不良症を持つ患者は本剤を服用してはなりません。
副作用
推奨用量レジメンにてALUNBRIG治療を受けた患者で最も多く報告された有害反応(25%以上)はAST上昇、高血糖症、高インスリン血症、貧血、CPK上昇、悪心、リパーゼ上昇、リンパ球数減少、ALT上昇、下痢、アミラーゼ上昇、疲労、咳、頭痛、アルカリホスファターゼ上昇、低リン酸血症、APTT延長、発疹、嘔吐、呼吸困難、高血圧症、白血球数減少、筋痛、末梢神経障害です。
推奨用量レジメンにてALUNBRIG治療を受けた患者で、新生物進行と関連する事象以外で最も多く報告された重篤有害反応(2パーセント以上)は、肺臓炎、肺炎、呼吸困難です。
特定集団
高齢患者: 65歳以上の患者でのALUNBRIGの安全性と有効性に関するデータは限定されており、このことは高齢患者での用量調節が不要であることを示しています。85歳超の患者に関して利用可能なデータは存在しません。
肝障害:軽度の肝障害(チャイルド・ピュー分類クラスA)または中等度の肝障害(チャイルド・ピュー分類クラスB)の肝障害を持つ患者の場合、ALUNBRIGの用量調節は必要ありません。重度の肝障害(チャイルド・ピュー分類クラスC)を持つ患者の場合、最初の7日間は開始用量を減量して60 mgを1日1回、その後は120 mgを1日1回の投与が推奨されます。
腎障害:軽度または中等度の腎障害(推算糸球体濾過量(eGFR)が30 mL/min 以上)を持つ患者の場合、ALUNBRIGの用量調節は必要ありません。重度の腎障害(eGFRが30 mL/min 未満)を持つ患者の場合、最初の7日間は開始用量を減量して60 mgを1日1回、その後は90 mgを1日1回の投与が推奨されます。重度の腎障害を持つ患者の場合、ILD/肺臓炎を示している可能性がある呼吸器症状(例:呼吸困難、咳など)の新規発現または悪化につき、特に最初の週は密にモニタリングします。
小児集団: 18歳未満の患者でのALUNBRIGの安全性と有効性は確立していません。利用できるデータは存在しません。
ALUNBRIG:重要な安全性情報(米国向け)
警告および注意
間質性肺疾患(ILD)/肺炎:肺については、間質性肺疾患(ILD)/肺炎と一致する重度/生命を脅かす/致命的有害反応がALUNBRIG投与で発現しています。ALTA試験(ALTA)で、ILD/肺炎が90 mg(90 mg 1日1回)投与群患者の3.7%、90→180 mg(90 mg 1日1回のリードイン期間7日間の後、180 mg 1日1回)投与群患者の9.1%で発現しました。ILD/肺炎の可能性がある疾患と一致する有害反応が患者の6.4%で早期段階(ALUNBRIG投与開始から9日以内、発現までの期間の中央値2日)に発現し、患者の2.7%でグレード3~4の反応が発現しました。特にALUNBRIG投与開始後の最初の1週間は、呼吸器症状(例:呼吸困難、咳等)の発現または悪化についてモニタリングします。呼吸器症状が発現または悪化した患者はすべてALUNBRIG投与を保留し、ILD/肺炎または呼吸器症状の他の原因(例:肺塞栓症、腫瘍進行、感染性肺炎)について直ちに評価を実施します。グレード1~2のILD/肺炎の場合、ベースラインまで回復した後に減量してALUNBRIG投与を再開するか、ALUNBRIG投与を永久的に中止します。グレード3~4のILD/肺炎の場合、またはグレード1~2のILD/肺炎が再発した場合は、ALUNBRIG投与を永久的に中止します。
高血圧症:ALTAで、高血圧症がALUNBRIG 90 mg投与群の11%、90→180 mg投与群の21%で報告されています。グレード3の高血圧症が患者全体の5.9%で発現しました。ALUNBRIG治療に先立ち、血圧を管理します。ALUNBRIG治療を開始して2週間後、その後の治療期間中は少なくとも毎月血圧をモニタリングします。最適な降圧療法にもかかわらずグレード3の高血圧症が発現した場合はALUNBRIG投与を保留します。重症度がグレード1まで回復した後、減量してALUNBRIG治療を再開します。グレード4の高血圧症、またはグレード3の高血圧症が再発する場合は、ALUNBRIG治療の永久的な中止を考慮します。徐脈を引き起こす降圧剤と併用してALUNBRIGを投与する場合は注意します。
徐脈:ALUNBRIG投与で徐脈が発現する場合があります。ALTA試験で、毎分50拍(bpm)未満が90 mg投与群の患者の5.7%、90→180 mg投与群の患者の7.6%で発現しています。グレード2の徐脈が90 mg投与群の患者1人(0.9%)で発現しています。ALUNBRIG治療期間中は心拍数と血圧をモニタリングします。徐脈を引き起こすことが判明している医薬品の併用が避けられない場合、患者のモニタリング頻度を高めます。症候性徐脈の場合はALUNBRIG投与を保留し、徐脈を引き起こすことが判明している併用薬の使用の有無を確認します。徐脈を引き起こすことが判明している併用薬が見つかり、投与を中断または投与量を調整した場合、症候性徐脈の消失後にALUNBRIG投与を同じ用量にて再開します。徐脈を引き起こす併用薬が見つからなかった場合、症候性徐脈が消失してからALUNBRIGの用量を削減します。生命を脅かす徐脈の場合、その要因となっている併用薬が特定されなければ、ALUNBRIGの投与を中止します。
視覚障害:ALTAで、かすみ目、複視、視力低下を含む視覚障害をもたらす有害反応がALUNBRIG治療を受けた患者で報告されており、割合は90 mg投与群で7.3%、90→180 mg投与群で10%となっています。90→180 mg投与群でグレード3の黄斑浮腫と白内障がそれぞれ患者1人で発現しています。何らかの視覚症状が現れたら報告するよう患者に助言します。重症度がグレード2以上の視覚症状が新規発現または悪化した患者では、ALUNBRIG投与を保留して眼科的評価を行います。グレード2ないしグレード3の視覚障害がグレード1の重症度またはベースラインまで回復した後、削減した用量にてALUNBRIG投与を再開します。グレード4の視覚障害の場合はALUNBRIG治療を永久的に中止します。
クレアチンホスホキナーゼ(CPK)上昇:ALTAで、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)上昇がALUNBRIG投与を受けた患者で発現しており、割合は90 mg投与群で27%、90 mg→180 mg投与群で48%となっています。グレード3~4のCPK上昇の発現率は、90 mg投与群で2.8%、90→180 mg投与群で12%でした。CPK上昇による減量が90 mg投与群の1.8%、90→180 mg投与群の4.5%で行われました。原因不明の何らかの筋痛、圧痛、脱力を経験した場合は報告するよう患者に助言します。ALUNBRIG治療期間中はCPK値をモニタリングします。グレード3またはグレード4のCPK上昇の場合はALUNBRIG投与を保留します。CPK上昇が消失するかグレード1ないしベースラインまで回復した後、同じ用量または削減した用量にてALUNBRIG投与を再開します。
膵酵素の上昇:ALTAで、アミラーゼの上昇が90 mg投与群の患者の27%、90→180 mg投与群の患者の39%で発現しています。リパーゼの上昇が90 mg投与群の患者の21%、90→180 mg投与群の患者の45%で発現しています。グレード3ないし4のアミラーゼ上昇が90 mg投与群の患者の3.7%、90→180 mg投与群の患者の2.7%で発現しています。グレード3ないし4のリパーゼ上昇が90 mg投与群の患者の4.6%、90→180 mg投与群の患者の5.5%で発現しています。ALUNBRIG治療期間中はリパーゼとアミラーゼをモニタリングします。グレード3ないし4の膵酵素上昇の場合はALUNBRIG投与を保留します。膵酵素上昇が消失するかグレード1ないしベースラインまで回復した後、同じ用量または削減した用量にてALUNBRIG投与を再開します。
高血糖症:ALTAで、ALUNBRIGの投与を受けた患者の43%が高血糖症の新規発現または悪化を経験しました。ラボ検査による空腹時血清グルコース値の評価に基づくグレード3の高血糖症が患者の3.7%で発現しています。ベースラインで糖尿病または耐糖能異常を患っていた患者20人中2人(10%)がALUNBRIG投与期間中にインスリンの投与開始を必要としました。ALUNBRIGの投与開始に先立ち空腹時血清グルコース値の評価を行い、その後は定期的にモニタリングします。必要に応じ血糖降下薬の投与を開始するか投与量を最適化します。最適な医療管理によって高血糖の適切なコントロールが達成できない場合、高血糖の適切なコントロールが達成できるまでALUNBRIGの投与を保留し、ALUNBRIGの投与量削減か永久的中止を検討します。
胚・胎児毒性:動物における作用機序と知見に基づけば、ALUNBRIGは妊婦に投与した場合、胎児に害を及ぼす可能性があります。妊婦でのALUNBRIGの使用に関する臨床データはありません。妊婦に対しては胎児への潜在的リスクについて助言します。妊娠する可能性のある女性には、ALUNBRIG治療期間中および最後の投与後少なくとも4カ月間は有効な非ホルモン性避妊薬を使用するよう助言します。妊娠する可能性のある女性パートナーを持つ男性には、治療期間中およびALUNBRIGの最後の投与後少なくとも3カ月間は有効な避妊法を用いるよう助言します。
有害反応
重篤有害反応が90 mg投与群の患者の38%、90→180 mg投与群の患者の40%で発現しています。最も多く発現した重篤有害反応は肺炎(全体で5.5%、90 mg投与群で3.7%、90→180 mg投与群で7.3%)とILD/肺臓炎(全体で4.6%、90 mg投与群で1.8%、90→180 mg投与群で7.3%)でした。致死性の有害反応が患者の3.7%で発現し、その内訳は肺炎(患者2人)、突然死、呼吸困難、呼吸不全、肺塞栓症、細菌性髄膜炎、尿路性敗血症(それぞれ患者1人)でした。
90 mg投与群で最も多く発現した有害反応(25%以上)は悪心(33%)、疲労(29%)、頭痛(28%)、呼吸困難(27%)で、90→180 mg投与群では悪心(40%)、下痢(38%)、疲労(36%)、咳(34%)、頭痛(27%)でした。
薬物相互作用
CYP3A阻害剤:強力なCYP3A阻害剤ないし中等度のCYP3A阻害剤とALUNBRIGの併用は避けます。グレープフルーツおよびグレープフルーツジュースもブリガチニブの血漿濃度を上昇させる可能性があるため避けます。強力なCYP3A阻害剤ないし中等度のCYP3A阻害剤の併用が避けられない場合は、ALUNBRIGの投与量を削減します。
CYP3A誘導剤:強力なCYP3A誘導剤ないし中等度のCYP3A誘導剤とALUNBRIGの併用は避けます。中等度のCYP3A誘導剤の併用が避けられない場合は、ALUNBRIGの投与量を増量します。
CYP3A基質:ホルモン性避妊薬を含む高感度のCYP3A基質とALUNBRIGの併用は、高感度のCYP3A基質の濃度低下と効果消失をもたらす場合があります。
特定集団における使用
妊婦:ALUNBRIGは胎児に害を与える可能性があります。妊娠する可能性がある女性には胎児への潜在的リスクについて助言します。
授乳婦:ブリガチニブの母乳への排泄または母乳摂取乳児ないし母乳産生への影響に関するデータは存在しません。母乳摂取乳児における有害反応の可能性があるため、授乳中の女性にはALUNBRIGによる治療期間中は母乳を与えないよう助言します。
生殖能力を持つ男女:
避妊法:妊娠する可能性のある女性には、ALUNBRIG治療期間中および最後の投与後少なくとも4カ月間は有効な非ホルモン性避妊薬を使用するよう助言します。妊娠する可能性のある女性パートナーを持つ男性には、治療期間中およびALUNBRIGの最後の投与後少なくとも3カ月間は有効な避妊法を用いるよう助言します。
不妊:ALUNBRIGは男性の生殖能力を低減させる可能性があります。
小児への使用:小児患者でのALUNBRIGの安全性と有効性は確立していません。
高齢患者への使用:ALUNBRIGの臨床研究では、高齢患者における効果が若年患者の場合と異なるかどうかを判断するのに十分な人数の65歳以上の患者が対象となっていません。
肝障害・腎障害:軽度から中等度の肝障害または軽度から中等度の腎障害を持つ患者の場合、投与量の調整は推奨されていません。重度の肝障害または重度の腎障害を持つ患者の場合、ALUNBRIGの投与量を削減します。
ALUNBRIGの完全な処方情報(米国向け)についてはwww.ALUNBRIG.comをご覧ください。
武田薬品工業株式会社について
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの経営の基本精神に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品のミッションは、優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献することです。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤およびワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80カ国で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細情報についてはhttps://www.takeda.comをご覧ください。
留意事項
本留意事項において、「ニュースリリース」とは、本資料(添付資料及び補足資料を含みます。)において武田薬品工業株式会社(以下、「武田薬品」)によって説明又は配布された本書類、口頭のプレゼンテーション、質疑応答及び書面又は口頭の資料を意味します。本ニュースリリース(それに関する口頭の説明及び質疑応答を含みます。)は、いかなる法域においても、いかなる有価証券の購入、取得、申込み、交換、売却その他の処分の提案、案内若しくは勧誘又はいかなる投票若しくは承認の勧誘のいずれの一部を構成、表明又は形成するものではなく、またこれを行うことを意図しておりません。本ニュースリリースにより株式又は有価証券の募集を公に行うものではありません。米国1933年証券法に基づく登録又は登録免除の要件に従い行うものを除き、米国において有価証券の募集は行われません。本ニュースリリースは、(投資、取得、処分その他の取引の検討のためではなく)情報提供のみを目的として受領者により使用されるという条件の下で(受領者に対して提供される追加情報と共に)提供されております。当該制限を遵守しなかった場合には、適用のある証券法違反となる可能性がございます。
武田薬品が直接的に、又は間接的に投資している会社は別々の会社になります。本ニュースリリースにおいて、「武田薬品」という用語は、武田薬品およびその子会社全般を参照するものとして便宜上使われていることがあり得ます。同様に、「当社(we、usおよびour)」という用語は、子会社全般又はそこで勤務する者を参照していることもあり得ます。これらの用語は、特定の会社を明らかにすることが有益な目的を与えない場合に用いられることもあり得ます。
将来に関する見通し情報
本プレスリース及び本プレスリリースに関して配布された資料には、武田薬品の見積もり、予測、目標及び計画を含む当社の将来の事業、将来のポジション及び業績に関する将来見通し情報、理念又は見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「保証する(ensures)」、「だろう(will)」、「かもしれない(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」「することができた(could)」、「予想されるanticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」などの用語、同様の表現、それらの否定表現を含むことが多いですが、それに限られるものではございません。この書類における将来見通し情報は、この書類の発表日における当社の推定及び前提に基づくものです。かかる将来見通し情報は、当社または当社の役員による、将来の業績に関する保証を表するものではなく、既知及び未知のリスクと不確実性その他の要素を伴います。リスクと不確実性には、日本と米国の一般的な経済条件を含む当社の世界的な事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、関連法規の変更、製品開発計画の成功または失敗、規制当局による判断とその時期、金利及び通貨為替レートの変動、市場で販売された製品または製品の安全性または有効性に関するクレームまたは懸念等、買収対象企業とのPMI(買収後の統合活動)の時期及び影響、武田薬品の事業にとっての非コア資産を売却する能力及びかかる資産売却のタイミングが含まれますが、これらに限られません。これらにより、当社の実際の業績、経営結果、財務内容は、将来見通し情報において、明示または暗示された将来の業績、経営結果、財務内容とは、大きく異なる可能性があります。当社の業績、経営結果または財務状況に影響を与え得る事項の詳細に関しては、武田薬品が米国証券取引委員会に提出したForm 20-Fによる最新の年次報告書の”第3項重要事項 – D.リスクファクター”及び他の報告書をご参照ください(https://www.takeda.com/investors/reports/sec-filings/又はwww.sec.govにおいて閲覧可能)。武田薬品の将来の業績、経営結果又は財務状況は、将来見通し情報において明示又は暗示されたものと大きく異なることがあり得ます。本プレスリリースの受領者は、将来見通し情報に過度に依存するべきではありません。武田薬品は、法律ないし証券取引所規則で要求される場合を除き、本プレスリリースに含まれる、または当社が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本プレスリリースにおける武田薬品の経営結果は武田薬品の将来の経営結果を示すものではなく、また、その予測、予想または見積もりではありません。
1 World Health Organization. Latest Global Cancer Data. https://www.who.int/cancer/PRGlobocanFinal.pdf. Accessed May 11, 2019.
2 American Cancer Society. What is Non-Small Cell Lung Cancer? https://www.cancer.org/cancer/non-small-cell-lung-cancer/about/what-is-non-small-cell-lung-cancer.html. Accessed May 11, 2019.
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